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夕暮れのタスマニアの湖畔に立ち込むアングラー

ADVENTURES

タスマニア ― 南緯40度の島で出会う、世界で最も難しいトラウトフィッシング

Peter Morse2019年1月21日

地球上で南緯40度より南にある陸地はそう多くありません。そのことから、かつては「南方大陸」の存在が唱えられました。赤道より北にこれだけの陸地があるのだから、地球のバランスを取るためには赤道の南にも同じだけの陸地があるはずだ——そう考えられていたのです。実際にあるのはニュージーランドの大部分、チリとアルゼンチンの南端、そして過酷で辺境の島々がいくつか(そのほとんどが「デソレーション島(荒涼の島)」と呼ばれているようです)。南緯40度以南といえば、それでほぼすべてです。おっと、ちょっと待ってください。タスマニアがありました。オーストラリア本土の南に浮かぶ、しばしば忘れられがちな島です。

タスマニアの人々は、オーストラリアの地図から自分たちの島が省かれることに敏感です。けれど、それが多くの面で彼らにとって、とりわけ釣り人にとっては好都合でもありました。彼らは本当にユニークで素晴らしいトラウトフィッシャリーを、ほとんど独占しているのです。世界中の多くのトラウトウォーターが釣り人であふれかえる中、タスマニアはほとんど注目を浴びることなく今日まで来ました。

タスマニアのトラウトフィッシャリーは、フライフィッシングの「進化」を学ぶ格好の教材です。魚は同じでも、水域、孤立した環境、そして多種多様な釣り場と水生昆虫が、かなりユニークなフライフィッシングの技術と、もちろんフライを生み出してきました。地元の釣り方に最も大きな影響を与えたものを一つ挙げるなら、イギリス諸島の釣り、特にボートからの釣りでしょう。しかしタスマニアの人々のトラウトフィッシングには独自の部分がはるかに多く、私たちが彼らから学べることはたくさんあります。

岩が点在するタスマニアの浅い湖に立ち込むアングラー
湖に浮かぶボートからキャストするアングラーたち

この地域で釣果を上げるには、湖底の性質を知ることが大きな鍵になります。風裏になった、ごろた石底の入り江では、魚はごく浅いところまで入り込み、とりわけメイフライをそのライフサイクル全般にわたって追いかけています。

岩と木々に囲まれた湖岸で釣りをするアングラー

湖の真ん中にできたウインドレーンのスリック(滑らかな筋)を流しながら、テレストリアルを食べて回遊する魚を探します。

たとえば、浅場を回遊する魚を偏光グラスで見つけてフライをプレゼンテーションするという釣り方は、おそらくここ、セントラルハイランドの湖で始まったものでしょう。タスマニアの人々はサイトフィッシングの達人です。タスマニアのフライフィッシャーにとって、やみくもにウェットフライを(どんなフライであれ)投げ続けるのは、エサ釣りとほとんど同列です。状況によってやむを得ずそうすることになったとしても、人には言わず胸にしまっておきましょう。それは個人的な問題です。ここでは、ライズする魚や目に見えて回遊している魚にキャストすることが、ほぼすべてなのです。

釣り場を理解するには、その地理をある程度知っておく必要があります。タスマニアのセントラルプラトー(中央高原)一帯は標高700〜1000mほどにあり、大小、深い浅い、自然湖と人造湖、アクセスの容易なものから非常に辺鄙なものまで、千もの湖で占められています。冬はとても寒く、高原一帯が雪に覆われることもあります。

これらの水域にはそれぞれ、湖底の性質、周囲の土地、標高、集水域によって決まる独自の「個性」があります。モンタナの小川や川同士よりも、互いの違いははっきりしています。湖と湖の間には森林や牧草地が広がり、風の吹きすさぶ高所ではツンドラのような開けた風景が続きます。この高原の大地は岩、岩、また岩ですが、岩の間の土壌は非常に肥沃です。

水中で手にした金色のブラウントラウト

ブラウントラウトには、決まって回遊する縄張りのルートがあります。その範囲はたいていはっきりしているので、1分ほどでまた戻ってくると見込んで、ドライフライで待ち伏せを仕掛けることができます。

高地の湖畔で身をかがめて魚を狙うアングラー

西部の湖の金色のブラウンは、例外なく美しい斑点をまとっています。

ほとんどの湖には自然繁殖する野生魚——ブラウン、レインボー、場所によってはブルックトラウト——が生息していますが、これらの水域の主役はなんといってもブラウンです。南半球に初めて持ち込まれたトラウトの子孫で、そのルーツはスコットランドのロッホ・リーヴンにあります。タフで賢い遺伝子を受け継いでいるのです。

大まかに言えば、ここでの釣りは二本の大きな柱に分かれ、それぞれがさらに細かく枝分かれしています。岸からの釣りとボートからの釣りです。ボートからのロッホスタイルやウインドレーンの釣りはとても人気があります。真夏の日中、風に吹かれる湖のはるか沖で、大きな金色のブラウンや銀色に輝くレインボーの群れが水面の虫を食べている光景は、本当に特別なものです。

真夏には、テレストリアルが驚くほど大量に発生します。特にさまざまな種類のビートル(甲虫)、それにグラスホッパー、セミ、羽アリなど、魚のエサになるものが数多くいます。これらは、風向きと風の強さが安定したときにできるウインドレーンや泡の筋に集まります。ボートはエレクトリックモーターでウインドレーンに沿って進み、その筋を横切るようにジグザグに行き来しながら、水面で捕食する魚を迎え撃ちます。10ftのロッド——#6が好まれます——に、20ft(約6m)のリーダーで最大3本のドライフライを結び、捕食する魚の進路を横切るように地雷原のごとく並べておくのです。これは実に見事な釣りで、冬に入ってもミッジのハッチが主役になって長く続きます。その頃には、西海岸の深く暗い森の湖で、数えきれないほどのレインボーが捕食を始めます。この島の西海岸は、「ロアリング・フォーティーズ(吠える40度)」の偏西風が、はるかパタゴニア以来初めて陸地にぶつかる場所です。地球上で最も雨の多い場所のひとつで、まったく足を踏み入れられないほど深い温帯雨林に覆われています。

鏡のように静かな湖面に立ち込むアングラー

Chris Bassanoが、カエルを探してごく浅い岸際を回遊するシーズン初期のトラウトを迎え撃とうとしています。

水面に浮かぶ大型のメイフライ

ほんのかすかな波紋が、状況に目を凝らしている人に魚の存在を教えてくれることがあります。早朝の、ごく浅く鏡のような水面では、それこそが探すべきサインです。それはトラウト以外の何ものでもなく、しかも捕食中のトラウトです。

真夏の前後はメイフライとカディスのシーズンです。夏の前の10月と11月、そして2月と3月に再び始まります。メイフライもカディスも種類が豊富ですが、優れたローカルパターンがそのすべてをカバーしています。多くの人はイマージャーで釣るのを好みます。ここのメイフライは、メイフライとしては大型なことが多く、#12と#14があればたいてい事足り、#16以下が必要になることはごくまれです。ここのトラウトは特にスティックカディスのパターンが好物で、メイフライのニンフ、スカッド、カエル、オタマジャクシ、巻貝などと一緒に、多くの湖の岸際のごく浅い水域でこれらを捕食しています。

釣りは例外なくサイトフィッシングで、相手はテーリングしている魚(早朝)、ライズしている魚、あるいは回遊している魚です。地球上で最も難しいスプリングクリークの釣りにも匹敵するテクニカルな釣りで、フライが水面下にあり、魚がゆっくりとうろつきながら何かを食べている場合は特にそうです。たいていは直感でアワセるか、ティペットのほんのかすかな動きを見逃さないようにするしかありません。

ドライフライのわずか数インチ(数cm)下にスティックカディスを吊るせば、少なくともインジケーター代わりになり、二重の保険にもなります。流れの中に定位し、流れてくる虫の群れにリズミカルにライズする魚を相手にできる贅沢な状況とは、まったく違います。ここではフライを魚の捕食レーンに流し込むという余地はありません。魚がどこへ向かうかを予測し、その前方に、たいていはわずか数インチの水深のところへ、とても繊細にフライを落とさなければなりません。そしてそのフライはじっと動かずにその場にとどまり、お菓子屋さんで好物を探す太った子どものようにゆっくりとさまよう魚を待ち受けるのです。

ドライフライの下にスティックカディスを吊るしたリグ
浅い湖の水際に広がるかすかな波紋

タスマニア低地のメイフライは例外なく大型で、最もよく模倣されるのは#12と#14です。

ドライの下にスティックカディスを吊るした、浅場の定番リグ。インジケーターとニンフの間は、たいてい数インチしかありません。

これは間違いなく、私がこれまで経験した中で最も難しいトラウトのフライフィッシングです。もし自分の腕に自信があるなら、リトルパイン・ラグーンの「アンタッチャブル(手の届かない魚たち)」と呼ばれる岸で早朝を過ごしてみてください。その自信を打ち砕くのに、これ以上のものはありません。

多くの湖で、メイフライの時期はばかばかしいほどよく釣れます。タスマニアのブラウンはほとんどの時間、上を意識する傾向があるので、メイフライのシーズンには、たとえハッチしていなくても周囲に目を配っていて、ごく平凡なドライフライでも喜んで食べてくれます。湖の多くは浅く、水深8ft(約2.4m)もないことがよくあります。大きさも、晩冬の雪解けでできた水たまりのようなものから、周囲何マイルにも及ぶものまでさまざまです。

ウィードベッドが豊かな湖もあれば、岩だらけの湖もあります。どれもまったく違い、釣れ方も違うので、それぞれに合ったアプローチが必要です。道の終点のさらに先にあるターン(山上の小湖)で岸辺を歩いて釣るのは、特に風のない青空の日には、最高の釣りになることがあります。とりわけ、茂みに覆われた岸辺の暖かい風裏に沿ってブラックスピナーが群れ飛ぶときは、まさにシャンパン級の釣りです。

シーズン初期の早朝、ごく浅い岸際で捕食する典型的なブラウン。良いプレゼンテーションの許容範囲は極めて狭いのです。

SAGEのロッドとリールの横に横たわるブラウントラウト
曇り空の下、浅い湖でキャストするアングラー

曇りの日には、澄んだ砂底の湖の入り江がまさに宝の山です。

ボートからの釣りには9ft6inか10ftのロッドが理想的です。6100 X以上のロッドは想像できませんし、このロッドはあの地域でこの種の釣りに非常に人気があります。私が好んで合わせるラインは、RIOのシングルハンド・スペイラインです。リールは大きいほうのCLICK(4/5/6サイズ)を使うことが多いですが、SPECTRUM LTの5/6もすっかり気に入っています。風のない日に岸からサイトフィッシングをするなら、私は9ftのロッドが好きで、590 MODこそトラウトの世界で最高のトラウトロッドだと思っています。

もし今の自分の釣りに満足し、慢心しているなら、コンフォートゾーンを抜け出して、少し鼻をへし折られに行く時期なのかもしれません。少し足を延ばして、ロアリング・フォーティーズに浮かぶこの島を訪れてみてください。ユニークで豊かな野生生物、どこまでも人の少ない土地、そしてまったく違うトラウトフィッシングが待っています。川もありますが、それはまた別のお話です。

背が盛り上がり、肩の張った、斑点の濃いタスマニア高地のブラウン。

著者について

Peter MorseはオーストラリアにおけるSAGEアンバサダーです。『Saltwater Fly Fishing Fundamentals』と『A Few Great Flies... And How to Fish Them』の2冊の著書があり、FFIマスター・キャスティング・インストラクターでもあります。Peterについての詳しい情報は www.wildfish.com.au をご覧ください。

澄んだ水辺でレインボートラウトを手にする白いひげのアングラー

原文:Tasmania(Peter Morse/SAGE・Far Bank Enterprises、2019年1月21日)
写真:SAGE・Far Bank Enterprises
日本語訳:Fly Fishing Outfitters WALTON

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