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山々を望む清流に立ち込むアングラー

ADVENTURES

ソフトハックル ― 世界最古にして最も汎用性が高く、最も見過ごされているフライ

Nick Teynor2018年7月9日

世界最古にして最も汎用性が高く、そして最も活用されていないフライの一族

現代のアングラーは、あらゆる道具やガジェット、新しいフライや知識を手に入れられるにもかかわらず、とても二次元的になってしまいました。ドライフライで水面だけを釣るか、重いニンフとオモリと巨大なインジケーターで底をさらうか、あるいは大きなフライと小さなフライを組み合わせたドロッパーリグで水面と水中の両方を釣るか。ではもし、水面から底まで水中のどの層でも効果的に使えて、いつでもどこでも魚を釣ることができ、しかもたくさんの魚を釣ることができる——そんな幻のフライがあると言ったらどうでしょう。そのフライが文字どおり何百年、いや千年も前から存在していると言ったら、信じられるでしょうか?

皆さん、ご紹介しましょう。ソフトハックル・フライです。このシンプルでいて恐ろしくよく釣れるフライと、そのさまざまな釣り方は、ここでは挙げきれないほど多くのアングラーや著者たちの努力によって、世代から世代へと受け継がれてきました。この記事で、この素晴らしい釣り方を試すのに必要な「生の」エッセンスを皆さん[現代のフライフィッシング愛好家の皆さん]にお伝えし、その系譜の一端に貢献できればと願っています。さあ、始めましょう!

夕方の光に照らされた川と、遠くで立ち込むアングラー

なぜソフトハックルを使うのか?

このフライを使う理由はたくさんありますが、ここではソフトハックルをフライボックスに加えるべき、本質的で普遍的な理由に絞ってお話しします。

1)テクニックがシンプルで、特別な道具を必要としません。ソフトハックルを使うのに専用のフライロッドは必要ありません。いつも使っているトラウトロッドで十分です。地元のトラウトストリームでソフトハックルを使うなら、基本的なドライフライやニンフの釣りで使っているのと同じリーダーとティペットのセッティングで問題なく機能します。ソフトハックルを1本だけ結んでもいいし、2本結んで魚がどちらを好むか試してもいいでしょう。フライをもっと深く沈めたければ、リーダーとティペットの結び目の上に小さなガン玉を付けるだけです。ストライクインジケーターは必要ありません。スイングで釣るならなおさらです。

2)ソフトハックルは、新しいアングラーをこの趣味に導くのに最高の方法です。ソフトハックルをスイングさせる釣りは、初心者にフライフィッシングを教えるうえで最も効率的で、最も寛容な方法のひとつです。複雑なリギングは不要で、水域を効果的かつ安定してカバーでき、スイングで釣ればたいてい魚が勝手にフッキングしてくれます。たとえキャストがまずくても、メンディングで修正して釣れる状態にできます。私は特に若いフライフィッシャーを教えるときにこのテクニックを使うのが好きです。先に述べたように比較的簡単で寛容であるうえに、キャスティングやメンディング、釣り全般のスキルを一緒に磨くことができるからです。

3)トラウト相手にソフトハックルをスイングさせるのは、スティールヘッドのスイング釣りを学ぶ最高の方法です。スティールヘッドを一度も釣ったことがない人ならなおさらです!トラウトにソフトハックルをスイングさせるテクニックは、スティールヘッドにフライをスイングさせる方法とまったく同じです。ラインにテンションがかかるよう下流側へ角度をつけてキャストし、魚の感触を感じ取ってフッキングできるようにします。魚に口を使わせるため、できるだけゆっくりとコントロールしてフライをスイングさせます。そして一定のラインの長さで釣ることで、釣っているポイントを「釣りすぎない」ようにしながら、同時に広い範囲をカバーします。スイングが終わったら下流へ大きく一歩踏み出し、同じ手順を繰り返します。子どもの頃の数少ない釣りの師匠の一人は、トラウト相手のソフトハックルのスイングが大好きだと言っていました。テクニックも戦術もスティールヘッド釣りとあまりに重なり似ているので、トラウトにソフトハックルをスイングさせるたびに「ミニ・スティールヘッド」を狙っている気分になれるのだそうです。スティールヘッドシーズン前に「スイング」を仕上げておくことが、魚に出会えるかどうかの分かれ目になることもあります。練習を兼ねて、ついでにトラウトも釣ってしまいませんか?

4)ソフトハックルのスイングは、最もリラックスでき、最もやみつきになるフライの釣り方のひとつです。釣りの一日を思いきり楽しみたいとき、水域をカバーしながらもリラックスしたいとき、ソフトハックルを釣ること以上の方法はありません。キャストの角度とフライのスピードさえ整えてしまえば、あとはフライをスイングさせて釣らせるだけです。テクニックさえ身につければ、フライがどう流れているかを常に気にして集中し続ける必要のない、数少ないフライフィッシングのテクニックのひとつです。顔を上げて、周りの素晴らしい景色と世界を味わい、そして魚がフライをゴンと叩いて流れを転げるように下っていく瞬間に、すべてが再び集中の中に戻ってくるのです。「引きこそが麻薬(The tug is the drug)」——私がこの釣りになぜこれほど中毒になり打ち込んでいるのかを説明するとき、つい使いすぎてしまう言葉です。ソフトハックルフライを釣るのがなぜこんなに楽しいのかを、これほどシンプルかつ完璧に表している言葉はありません。

Soft Hackles

「ソフトハックルフライを釣れば釣るほど、水を釣るよりもフライを釣るのだと気づくようになりました」

川に立ち込み、ロッドを大きく曲げて魚とやり取りするアングラー

ソフトハックルとは?

ソフトハックルフライの定義はとてもシンプルです。シルク、スレッド、ワイヤー、ダビング、あるいはフェザーファイバーでごく細く巻いたボディに、グロース(ライチョウ類)、パートリッジ、ヘン、スターリングなどの鳥の、繊維の長いハックルをカラー状に巻いたフライです。これらの羽根を使うのは、流れの中で簡単に揺らめき、ラインのわずかな操作にも反応し、生きてもがいているものを模倣できるからです。ソフトハックルとニンフを同じ「水面下のパターン」として一括りにする人もいますが、両者をよく見比べると、いくつかの重要な違いが見えてきます。現代のニンフは深く沈めて釣るように設計されています。多くはとても重いビーズヘッドを付けたり、鉛や鉛代替のワイヤーを巻いたりして、狙った水深まで沈むようにできています。また現代のニンフはデッドドリフトで釣ることを前提としていますが、特定の釣り方に限定されるわけではありません。ハックルのないニンフをスイングさせても釣れますが、セレクティブなトラウトにフライを食わせようとするとき、ハックルのカラーが大きな違いを生むのです。

このハックルのカラーこそがリアルさを一段増し、現代のパターンに対する優位性と、魚を夢中にさせるトリガーを生み出しているのです!トラウトは、猫が毛糸玉に反応するのと同じように動きに反応します。動きが大きすぎると彼ら{トラウト}はフライを襲うためにエネルギーを使おうとしないかもしれませんし、小さすぎると興味を失います。しかし、ちょうどよい加減でトゥイッチして釣れば、トラウトは毎回のように追いかけてきます。ソフトハックルを釣るアングラーとしての私たちの仕事は、攻撃的な反応を引き出すその「ひとつの動き」を見つけ出すことなのです。

バイスに挟んだスパイダー型のソフトハックルフライ

ソフトハックルは何が違うのか?

ひとことで言えば、ソフトハックルは一般的なドライフライやニンフと同じように扱って釣ることもできますが、流れを横切るようにコントロールしながらスイングさせてこそ、その究極のアクションと目的を果たすのです。ソフトハックルは何よりも、広い範囲をカバーするのに優れています。流れを横切ってフライをゆっくりスイングさせることで、はるかに多くの水域をカバーし、キャストごとにより多くの魚にフライを見せることができるのです。このテクニックが絶大な効果を発揮するときもあれば、釣り方を変える必要があるときもあります。しかし、流れを横切ってスイングするラインをコントロールする技術を学び、身につけることは非常に重要です。

人生の多くのことと同じように、基本中の基本を学び磨き上げれば、あらゆる取り組みがずっと楽になります。そしてクラシックなウェットフライスイングこそが、ソフトハックルの旅の始まりです。なぜフライを下流側へプレゼンテーションするのか? 私たちがフライにアップランドの狩猟鳥の長いハックルを使うと言ったのを覚えていますか? 理由はごく単純です。その長い羽根の繊維は、アングラーがほとんど操作しなくても大きくアクションします。これが魚を夢中にさせる内蔵のトリガーであり、ソフトハックルを一般的なニンフと区別するものなのです。

ボディが細くシンプルであることも、またひとつの長所です。アングラーが見落としがちな、もう一段のリアルさを加えてくれるのです。最近のニンフには、あれこれと飾りが詰め込まれています。たくさんのフラッシュやウェイト、ニンフをよりリアルに見せるためのありとあらゆる奇抜なマテリアル。しかし、ベイティスのニンフがラインバッカーみたいに分厚く見えたことがあるでしょうか? ベイティスのような小さなメイフライや、ミッジのラーバやピューパのような小さなフライでは、ボディが細くシンプルなソフトハックルは最適な選択肢です。ボディを太くしたり盛り上げたりする必要はないのです! ボディが細いほどフライはよく機能しますし、小さな虫を相手にするときには、この点を考慮することが極めて重要です。これもまた、川にすむ昆虫のライフサイクルをよく理解することが大切な理由のひとつです。最初から効果的なフライを選べるようになり、正解のフライにたどり着くまで手持ちのフライを片っ端から試す必要がなくなります。つまり、虫を知っていれば、正しいフライ探しよりも魚を釣ることにもっと時間を使えるのです。

ソフトハックルフライのもうひとつの利点は、プレゼンテーションの仕方や、トラウトに口を使わせるためにどんなアクションを選ぶかを変えるだけで、さまざまな種類の昆虫や、羽化途中のさまざまな段階を模倣できることです。カディスは通常、活発に泳いで水面に上がって羽化するので、カディスの羽化を最もよく模倣するにはフライを速めにスイングさせる必要があります。メイフライは通常、羽化のときにゆっくりと水面へ浮かび上がるので、トラウトが何を食べているかにしっかり合わせて最も効率よく釣りたいなら、ソフトハックルはゆっくりとスイングさせなければなりません。

並べられた5本のソフトハックルフライ

ソフトハックルにはどんな種類があるのか?

ソフトハックルには、はっきり異なる2つの種類があります。スパイダーとフリンフです。スパイダースタイルのソフトハックルは活発に動くあらゆるニンフを模倣し、虫の活動が少ない(あるいはまったくない)ときに使うアトラクターフライとしても効果的です。フリンフ型のソフトハックルよりもハックルカラーが長く、流れの中で泳ぐときにわずかな力で最大限の動きが出るようになっています。スパイダースタイルのソフトハックルは、フローティング剤を塗ってドライフライのように水面で使うこともでき、産卵中のカディスや昆虫を非常に効果的に模倣するので、この使い方でしばしば激しいバイトを引き出せます。フリンフはドライ、ニンフ、ソフトハックルの中間的な存在です。フリンフ型のソフトハックルは、3つのどの方法でも釣ることができます! 私の経験では、メイフライのニンフやイマージャーを模倣するときにフリンフは極めて効果的ですが、カディスやミッジも同じくらい効果的に模倣できます。私が個人的にフリンフを気に入っているのは、特に成虫や羽化中の段階の昆虫を模倣するときの汎用性の高さゆえです。そこでこそ最も威力を発揮し、釣果の大半をたたき出しているのです。

スパイダーにもフリンフにもさまざまなスタイルがありますが、この2つのソフトハックルの一族に共通するのは、適切な水域で、適切なプレゼンテーション(デッドドリフト、スイング)で、適切なラインの長さで使えば、非常に高い効果を発揮するという点です。

さまざまなタイプのソフトハックルフライとコイン

スイングの基本テクニック

ソフトハックルのスイングで魚を釣るための最も大切なポイントは何でしょうか。ソフトハックルを何でどうプレゼンテーションすべきかを左右する要素はたくさんありますが、次の3つのルールが、ソフトハックルで安定して釣果を上げるための土台です。

• 流れが速いほど、まっすぐなラインでスイングとドリフトを保つために、プレゼンテーションをより下流側に向ける必要があります。デッドドリフトではなくスイングさせる目的は、プレゼンテーションの最初から最後までテンションを保つことにあります。リーダーとフライラインにテンションがかかっていれば、魚がソフトハックルを捕えたときのコツンやゴツンといった小さな当たりもすべて感じ取れます。もしラインを大きく操作せずに川を真横へキャストしただけでは、まっすぐなラインでスイングさせることはできず、フッキングもあまり決まらないでしょう。逆に、ゆるやかで均一な流れを釣るときは、流れが均一であるほど、一回のスイングでできるだけ広い水域をカバーするために、より流れに対して直角に近い角度でキャストします。もっと下流側へキャストしても魚は釣れるかもしれませんが、カバーできる水域はずっと狭くなります! 自分を楽にして、適切な釣りの「角度」を使って、できるだけ効率よく水域をカバーしましょう。

• ソフトハックルフライは、できるだけ「ゆっくり」と「コントロールされた」スイングで釣らなければなりません。そうすることで魚がフライを見つけやすくなり、底から剥がされたニンフや羽化しようとする昆虫をよりよく模倣できます。投げっぱなしで運任せという釣り方は、このフライには決して効果的ではありません。これは断言します。

• 「一定の」ラインの長さを使います。ブラインドフィッシング、つまりライズする魚も安定した虫の活動もない状況で水域をカバーしていく場合は、一定のラインの長さで水域をカバーしなければなりません。これもソフトハックルで結果を出すための方法です。水域をくまなくカバーすれば、より多くの魚にフライを見せられるからです。ラインの長さを一定に限定すれば、目の前のトラウトがいそうな水域をすべてカバーできているかどうか心配する必要がなくなります。成功のために守るべき次の2つの条件を覚えておいてください。

• ポケットウォーターのような速い流れで釣るときは、最良のドリフトを得るために短いラインで釣る必要があります。こうした流れでは、ロッドティップから出しているフライラインはせいぜい1ft(約30cm)以下ということもよくあります。そうすることでラインとフライを最もよくコントロールでき、アタリも取りやすくなります。

• 流れが均一なほど、あるいは水域が大きいほど、水域をくまなくカバーするためにロッドティップから出すラインを長くします。ただし、特にプロボ川やウェバー川のようなユタ州の川では、ロッドティップから出すラインは30ft(約9m)もあれば十分です。足を使って水域をカバーし、できるだけ安定して効率よくフライをプレゼンテーションするようにしましょう。

木々に囲まれた浅い瀬に立ち込み、ロッドを構えるアングラー

知識は力なり!

私たちが模倣しようとしている虫については、いくら学んでも学び足りることはありません。さまざまな虫のライフサイクルを理解すれば、あなたは恐るべきソフトハックルアングラーになれるでしょう。ソフトハックルフライを釣れば釣るほど、水を釣るよりもフライを釣るのだと気づくようになりました。この謎めいた一文が意味するのは、模倣したい本物の虫のようにフライを振る舞わせることに集中すべきだということです。ソフトハックルをもっと効果的に釣る方法を学ぶのに、実際に食べられている虫そのものを観察する以上の方法があるでしょうか。簡単な昆虫学は、単なるおまけではなく必須のものです。それによって根拠のある推測ができるようになり、ハッチの状況をよりよく再現するための新しいアクションや動きを自分で生み出せるかもしれません。

虫、キャスティング、そして水の読み方についての知識を磨く時間が長いほど、ソフトハックルアングラーとしての腕は上がります。どんな釣りのテクニックも、本当に使いこなせるようになる唯一の方法は、できるだけ多く練習して実践することです。そこがソフトハックルの素晴らしいところです。一年中いつでも、どこででも使えるのです! 自信を持って釣れば、ソフトハックルが釣れることがわかるはずです。科学的な方程式も、黒魔術の呪文もありません。このフライをこれほど楽しいものにしているのは、シンプルで純粋な釣りの技術なのです。

ニンフのデッドドリフトやドライフライの釣りと並行してソフトハックルを使い続ければ、水を読む力もプレゼンテーションの腕も上がるでしょう。この小さなエッセイが、皆さんの釣りの腕をさらに伸ばし、この素晴らしいフライを試すきっかけとなり、自分で試行錯誤するための「生の」エッセンスをお届けできたなら幸いです。ソフトハックルフライは私たちフライフィッシングの先人たちにとっても有効でしたし、今も魚を釣り続けています。何世紀にもわたる実績を持つソフトハックルフライは、これまでに生み出された中で最も成功したフライです。ですから、次の釣行にはぜひいくつか持って行ってください!

川の中でトラウトを手にする2人のアングラー

著者について

NickはソルトレイクシティのWestern Rivers Flyfisherで、12年間(そして今も!)勤務しながらガイドやフライフィッシングの指導を行っています。FFI公認キャスティングインストラクター、SAGE Elite Pro、RIOリージョナルアンバサダーでもあり、自分の仕事と、新しいアングラーをこの素晴らしい趣味に導くことを愛しています。他の人が釣りを最大限に楽しめるよう手助けしていないときは、自分自身で魚を追いかけて旅をしています。ソフトハックルフライについての質問や、この素晴らしいフライについてさらに詳しく知る方法については、nteynor@gmail.comまでメールでお問い合わせください。写真はNickとPeter Morseによるものです。

原文:Soft Hackles(Nick Teynor/SAGE・Far Bank Enterprises、2018年7月9日)
写真:Nick Teynor・Peter Morse(SAGE・Far Bank Enterprises)
日本語訳:Fly Fishing Outfitters WALTON

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