昨年、冬の憂鬱から逃げ出すための遠征を計画し始めたとき、南米への旅がこれほど深く心に残るものになるとは思ってもみませんでした。インランド・ノースウェストの陰鬱な冬の天気を抜け出してトラウトを追いかける、ただそれだけの旅になると思っていたのです。とんでもない思い違いでした。それよりもずっと大きなものでした。
Las Pampasは、私にとって初めての南米文化の体験でした。カリブ海やメキシコには何度か旅をしたことがありますが、およそ7,000マイル(約11,000km)も南にあるパタゴニア地方まで足を延ばしたことはありませんでした。これまで釣りをした目的地はどこも、温かく親切な地元の人たちのおかげで良い経験になりましたが、Las Pampasには何か違うものがありました。居心地のいいロッジに足を踏み入れた瞬間から、家族のように迎えてもらえるのです。その家族のような雰囲気は、日を追うごと、夜を重ねるごとに深まっていきました。


とはいえ、Las Pampasは釣りだけの場所ではありませんでした。ロッジのマネージャーからガイド、シェフ、そのほか大勢のスタッフまで、運営に携わる人たちこそが、この体験を特別なものにしていたのです。私は他の人ほど多くのロッジを訪れたわけではありませんが、普通はその日の釣りが終わるとゲストとガイドは別々になり、翌朝の約束の時間まで顔を合わせることはない、ということくらいは知っています。Las Pampasは、ゲストとスタッフを見事に結びつけ、家族のような雰囲気を育んでいます。ガイドと一緒にグラスを傾けたり、夕食をともにしたりする夜が、関係を確かなものにする絆を生み、水辺での毎日をいっそう楽しいものにしてくれるのです。
この分け隔てのない雰囲気に加え、アルゼンチンのリオ・ピコ地域には、写真ではとても伝えきれない息をのむような景色が広がっています。アンデス山脈の麓に抱かれ、氷河をまとった高峰と、樹木のない高地の山頂がすぐ目の前に迫ります。Las Pampasの平原は、アンデスから流れ出る水脈を集める肥沃な大地となり、そこに暮らす魚たちに栄養をもたらしています。釣りをしたどの場所にもそれぞれ独特の景色があり、決して見飽きることはありませんでした。


ロッジから車で1時間以内の範囲で、小規模から中規模のフリーストーン(山岳渓流)、数多くのスプリングクリーク、いくつかの大きな湖を釣ることができ、ありとあらゆるサイズのブラウントラウト、レインボートラウト、ブルックトラウトが狙えます。Las Pampas Lodge周辺に広がる水域の幅広さは、「多彩」という言葉でも言い尽くせません。ここはまさにトラウトフィッシングの極楽なのかもしれません。
9日間、私たちの10人のグループは、Las Pampasを丸ごと味わうためにさまざまな水域をローテーションで釣り歩きました。ロッジGMのOggy Foxや、寡黙ながら頼れるAnca Colmをはじめとする忠実なスタッフたちが、私たちの好みに合わせつつ、この土地の多様性を見せるためにも、戦略的に新しい水域やチャンスへと導いてくれました。それぞれの川、ビート(区間)、湖は一週間のうちに休ませるようにして、フィッシャリーにプレッシャーをかけず、訪れるアングラーにはアメリカではとうに忘れられた時代を垣間見せてくれます。Las Pampasが利用できるエスタンシア(大農場)の数は多く、アングラーを同じ水域に入れずに特定のフィッシャリーを休ませることも容易なのです。
パタゴニアでの釣りは、まさに50年ほど前のモンタナ、アイダホ、ワイオミングはこんなふうだったのだろうと想像させる体験でした。アルバータからニューメキシコまで、ロッキー山脈沿いの街をすべて取り払ったら……パタゴニアにいるとそんな感覚になります。尽きることのないチャンス、数えきれないトラウト、そして人の手がほとんど入っていない自然。トラウトのサイズはさまざまで、よく釣れるのは12〜16インチ(約30〜41cm)ですが、18インチ(約46cm)やそれを大きく超える魚に出会うチャンスもたくさんあります。


トロフィートラウト
24〜30インチ(約61〜76cm)のトラウトを狙うトロフィーハンターなら、レインボー、ブルック、ブラウンの3種すべてでそのサイズに難なく届く魚と出会えるチャンスに、思わず顔がほころぶことでしょう。
小さなフリーストーンでは、従来の西部のドライフライパターンに、一日のほとんどの時間帯でレインボーやブラウンが反応する、古き良きトラウトフィッシングが楽しめました。スプリングクリークやラグーン、バックウォーターでは、20インチ(約51cm)を超えるトラウトがうろついていることもしばしばで、本当のトロフィーが潜んでいたのは湖でした。24〜30インチ(約61〜76cm)のトラウトを狙うトロフィーハンターなら、レインボー、ブルック、ブラウンの3種すべてでそのサイズに難なく届く魚と出会えるチャンスに、思わず顔がほころぶことでしょう。
とはいえ、釣りはやはり釣り。トラウトがいつでも簡単に食いついてくるわけではありません。ワシやミサゴといった上空からの捕食者が少ないとはいえ、アングラーはフライを慎重にプレゼンテーションし、時には“切り札”が見つかるまでパターンを次々と変えなければなりませんでした。またLas Pampasは山の近くにあるため、変わりやすい天候もその日の釣りを左右しました。幸い、旅の始めと終わりには驚くほど晴れて風の弱い日がありましたが、中盤にはいくら重ね着しても足りないような日や、40ノット(時速約74km)の風に向かってフライを投げ込む日も数日ありました。そんな日は、銃撃戦にナイフを持っていくのと同じくらい馬鹿げたものでした。たいていの旅と同じく、しっかり準備したアングラーなら、こうした不確定要素にも難なく対応できるはずです。
風があろうとなかろうと、人、文化、景色、食事、そしてもちろん釣り、そのどれもが最高でした。Las Pampasでは、こうした体験のすべてを「Las Pampas Style」と呼んでいます。まったくそのとおりです。またあの「Las Pampas Style」に戻れる日が待ちきれません。






著者について
Sean VisintainerはSAGE Elite Proであり、ワシントン州スポケーンにあるSilver Bow Fly Shopのオーナー。2005年にショップを購入して以来、スポケーン周辺のホームウォーターでガイドを務めるほか、世界各地への釣り旅行を主催しています。Seanについて詳しくはこちらをご覧ください。
原文:Field Report - Las Pampas Patagonia(Sean Visintainer/SAGE・Far Bank Enterprises、2019年4月26日)
写真:SAGE・Far Bank Enterprises
日本語訳:Fly Fishing Outfitters WALTON

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