熟達への近道はありません。あるのは、費やした時間、学んだ教訓、耐え抜いた失敗、そしてより良くなるために注ぎ込んだ数えきれない時間だけです。進歩はプレッシャーから生まれます——変化を受け入れ、行く手を阻むものを乗り越えることから。そしてやがて、そのすべてがパフォーマンスとなって表れます。それは粘り強さと、道のりそのものを楽しむ心の表れ。一線を守り抜き、本当の意味で「Skin in the Game(身を賭して挑む)」人の証です。RIOアンバサダーのDec Hoganのように。
作家でありストーリーテラー、そしてアングラーでもあるJesse Lance Robbinsが、Decへの美しいトリビュートを書き下ろしてくれました。Jesseと彼のプロジェクトについてはjesselancerobbins.comをご覧ください。本文の写真はフォトグラファーのChase White(@anadromous)が撮影しました。
Dec Hoganはロマンチストです。そしてすべてのロマンチストがそうであるように、彼の人生——ひいては釣り——への向き合い方は、感情、美しさ、そして人とのつながりを軸にしています。
「今でもあの感触を覚えているよ」と、初めてかけたスティールヘッドについて彼は語ります。よく耳にする言葉ですが、Decにとってそれはラインに伝わった引きの記憶以上のもの。心の中にある感覚であり、他の人とも分かち合う感覚なのです。
人生は往々にして私たちを行くべき場所へと導いてくれるものですが、それに気づき、実際にそこへたどり着くまでには時間がかかることがあります。Decもそうでした。カリフォルニアで過ごした幼少期から熱心なアングラーであり、アウトドアマン、バードウォッチャー、アマチュアの自然観察家でもありましたが、スティールヘッドの川に足を踏み入れるまでには何年もかかったのです。
そのきっかけとなったのは、1980年代半ば、海軍在籍中のワシントン州西部への移住でした。ウィッドビー島の基地に着任したDecは、同じくスティールヘッドに情熱を燃やす生涯の友、Scott O’Donnellと出会います。Scottは現在、Decと同じくスペイキャスティングのインストラクターであり、スティールヘッドガイドでもあります。海軍での任務を終えたDecはワシントン州マウントバーノンに移り住み、ピュージェット湾に注ぐスカジット川、ソーク川、スカイコミッシュ川、スティラガミッシュ川の「S-Rivers」をホームウォーターとしました。「大きくて、ワイルドで、素朴で、流れが速くて、美しい川。スイングにうってつけの流れと野生のスティールヘッドで満ちていた」と、彼は探求の日々を振り返ります。「今でも思い出すと胸が高鳴るんだ」
そこで彼をさらに深く引き込んだのが、地元の2つの場所でした。予想どおりアウトドアショップのEd’s Sport Shop、そしてやや意外なことに、図書館です。前者ではスティールヘッドの師となるCharlie Gearheartと出会い、後者では北西部のスティールヘッド文学の数々と出会いました。Roderick Haig-Brown、Trey Combs、Bill McMillanといった伝説的な書き手から、Enos Bradner、Claude Kreiderといった地元の書き手まで。Decは何度も何度も読み返し、そのページの中に感情と美しさ、そして自分自身を見出したのです。
そしてついに、準備が整いました。



Decの意欲と適性は誰の目にも明らかで、人を惹きつけるものでした。やがて彼は、現在ではパシフィック・ノースウエストにおける「スペイ革命」の先駆的な立役者とされるアングラーたちの輪に加わります。そしていずれ——必然的に——ガイドを頼まれるようになりました。そこから15年近く、S-Riversで休みなく釣り、働き続け、シーズンによってはアラスカや、グランドロンド川、デシューツ川にも出向きました。
その同じ小さな輪の中に、若き日のGeorge Cookがいました。現在はRIO Products、Sage、Redingtonなどのブランドを長年担当する、パシフィック・ノースウエストの伝説的なセールスレップです。「Geo」は、DecとScottに初めて会ったときのことをよく覚えています。二人は「ドラフトに名乗りを上げた」と言い、スティールヘッドガイドになるつもりだと彼に告げたのです。
「Decは新入生から大学院生、そして教授へと、あっという間に駆け上がっていった」とCookは振り返ります。「現代のスティールヘッドの時代において、彼は最高の一人だ。キャスティング、フライ、釣りのダイナミクス、川のシステム、歴史——そのすべてについて、深く実践的な理解を持っている」
彼に匹敵する人は何人かいたかもしれませんが、川にいる時間でDecに勝る者はいませんでした。「最初のうち、釣れたのは単にがむしゃらに釣っていたからなんだ。夜明けから日が暮れるまで釣っていたのに、あの頃の一日は短く感じた」とDecは振り返ります。「あの頃の自分と一緒に釣りに行けたらなあ……ポイント間を漕いでいる間に、お客さんには自分でサンドイッチを作ってもらうよ!」
スティールヘッド、スペイキャスティング、そしてパシフィック・ノースウエストの偉大な川々への理解は深まり続け、お客様と分かち合う意味深い経験も積み重なっていきました。しかし、それは精神的・肉体的な犠牲なしには得られないものでした。絶え間ないシーズンごとの川仕事のため、幼い家族と離れて過ごすことになりました。数は少なくとも見返りの大きいスティールヘッドの釣りには、強い精神力と、自分自身とお客様の前向きな気持ちを保つための新しい工夫が繰り返し求められました。体調を崩しても、ケガをしても働き、何シーズンも続けて過酷な自然にさらされ続けたことが、少しずつ体にこたえていきました。Decは、自分が若くなっていくわけではないことを自覚していました。
一度ならず考え直したこともありましたが、人とのつながりが彼を支え続けました。年月を重ね、魚との出会いが積み重なるにつれ、Decの経験は自信へと変わり、それがお客様の自信にもつながっていきました。
「お客さんには、このプログラムに乗ってくれればすべてうまくいくと信じてもらう必要があった……そして、そのプログラムっていうのは僕なんだ」とDecは笑います。「早いうちから、一緒に釣りをする人たちこそがすべてを価値あるものにしてくれると気づいていた。ネットに入った魚でも、いいスペイキャストでも、自信を持って心地よく釣りができるようになったことでも、彼らが成し遂げたことを認めてあげること。それが僕にとって、何よりの満足と喜びなんだ」



当時はスペイキャスティングも急速な発展期にあり、Cookから提供された新しいSageのモデルを手にしたDecの腕前は急上昇しました。「彼はスナップTのような北西部の新しいスペイキャストを新たなレベルに引き上げ、一目置かれるものにした」とGeorgeは言います。「アラスカのカネクトク川で、Decが川幅いっぱいのキャストを2回続けて決めるのを見たことがある……砂利の河原でナイキのスニーカーを履いたままね。2回とも対岸の柳にフライが引っかかったから、間違いなく届いていたんだ」2回目にフライを外したとき、Decはメンドを入れました。フライがわずか数フィート(1〜2mほど)スイングしたところで、銀色に輝くキングサーモン(チヌーク)がそれをひったくったのです。「その頃には、彼のキャスティングとガイドとしての才覚は、本当に驚異的なものになっていた」
季節が巡り、年月が流れ、Decの暮らす場所と仕事の在り方も変わっていきました。いつものように彼は心の声に従い、今度は長年連れ添うことになる妻Amyと共に暮らすため、ユタ州へ移りました。この引っ越しで愛する川や魚とは大きく離れてしまいましたが、ユタでDecは3年間を一冊の本の執筆に捧げることができました。その成果は、今では世界中のスティールヘッダーに愛される作品となっています。A Passion for Steelheadは300ページを超える珠玉のスティールヘッド読本で、フライやプレゼンテーションからバイト、季節に至るまで、あらゆることを網羅しています。全編にインスピレーションがあふれる一方で、実践的な教えもしっかりと盛り込まれています。
近道のことは忘れなさい。川で過ごす時間が必要だ。耳の痛い言葉かもしれないが、下積みをすることは何も悪いことではない。それが人生というものだ。経験こそが成功の要である。スティールヘッドの釣りにまつわるあなたのすべての行いが、あなたの経験の蓄えとなる——この本を読むことも含めて。
大作の各章を書き終えると、人生の新たな章が次々と開かれていきました。海軍で訓練を受けたDecにとって、消防士・救急救命士としてのキャリアは論理的な(そして安定した)次の一歩でした。プレッシャーの中での冷静さと人付き合いのうまさはこの仕事にぴったりで、勤務日と非番が交互に来るスケジュールのおかげで、もうひとつの新しい役割を担うこともできました。それが「教えること」です。



スペイキャスティングを教えることはガイドとは違う——Decはすぐにそれを学びました。しかし、ネットに魚が入るかどうかという要素がない分、生徒たちとは新しい形で、互いに満たされる関係を築くことができました。アングラーとの関わりは、今や「学び」だけに向けられています。Decはスペイキャスティングの基礎を教えながら、生徒一人ひとりの関心や技量に合わせて指導を調整します。同じくらい大きな意味を持つのは、クラスの中でDecが「ただの」一人のスティールヘッダーであることです。釣りへの揺るぎない情熱とともに、物語やジョークを分かち合うのです。
こうして振り返ってみると、Decは何ひとつ近道をしてこなかったことがわかります。海軍からスティールヘッドガイド、そして消防士まで、危険も報酬も大きな場所で、Decは粘り強く歩み、秀でてきました。海の上で、川で、人に教える場で、そして最前線で——費やしてきた時間において、Decに並ぶ者はいません。そして、この道への彼のロマンは少しも衰えていません。
昨年の冬、Decは21年間勤めた消防士を退職しました。63歳になった今、各地を巡って教える日々は減り、愛する川で自分のために過ごす時間が増えるだろうと思うかもしれません。しかし彼の視線はむしろ下流へ——心を躍らせ、情熱の火を燃やすものがさらに待っている場所へと向いています。もっと川で過ごす時間を、新旧の仲間たちともっと教え合う時間を、もっと美しさを、もっと感動を。そして、もっとスティールヘッドを。
「世界が噛みついてくるんだ」と、Decはバイトそのものについて語ります。「それが起きた瞬間、世界は美しく、完全なものになる」



原文:Skin in the Game with Dec Hogan(Jesse Lance Robbins/RIO・Far Bank Enterprises、2026年7月20日)
写真:Chase White(RIO・Far Bank Enterprises)
日本語訳:Fly Fishing Outfitters WALTON

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