スティールヘッドをスイングで狙う釣りには、ある種のタイプの人間が引き寄せられます。問題解決を好むエンジニアの気質、信じることだけを頼りに生きられる修道僧の忍耐、そして時折帽子からウサギを取り出してみせるマジシャンの腕前——そんな経歴の持ち主なら、まず間違いなく適任です。海から戻ったばかりの銀ピカの猛者たちと過ごすひとときは、払った犠牲の一つひとつがあるからこそ、よりいっそう鮮烈なものになります。そして、この魚と釣りへの熱狂的な献身が良い人間をつくるのも、驚くことではありません。
それがわかるのは、各地を渡り歩くスティールヘッダーのコミュニティに、フライフィッシングの世界でも指折りの優しく、粘り強い人々がいるからです。オレゴン州を拠点にガイドとアウトフィッターを営むMartyとMiaのSheppard夫妻は、まさにその代表格であり、彼らがRIOフライラインファミリーの欠かせない一員であることを私たちは誇りに思っています。
Marty Sheppardはオレゴン州で生まれ育ち、サンディ川のほとりで少年時代を過ごしました。父親を師として、5歳で初めてのスティールヘッドを手にします。父はその後もほぼ毎日のようにMartyを釣りに連れ出し、スティールヘッドを釣るために必要な直感とテクニックを叩き込み、彼の将来を形づくっていきました。MartyのフライフィッシングのインスピレーションはRoderick Haig-Brown、Bill McMillan、Trey Combsといった著名で洞察に満ちたナチュラリストたちの著作を読みふけったことから来ています。1990年代にはSteve KruseがMartyを弟子として迎え、スペイキャスティングの技術を伝授しました。それが今、ガイディングに対するMartyの尽きることのない情熱となって表れています。20年以上にわたる「現場」でのプロとしての経験に裏打ちされた彼のスタイルは、人に教え、川の純粋な喜びを分かち合うことへの、ほとんど伝道師のような熱意に満ちています。
Martyの「陰」に対する「陽」であるMia Sheppardの魚と川への情熱も、幼い頃に始まりました。テネシー州で育った彼女は、両親に連れられて家族でスモーキー山脈へハイキングや釣り、キャンプに出かけていました。フライフィッシングに惹かれたのは1996年、スノーボードのオフシーズンの楽しみとしてでした。2003年、彼女とMartyがLittle Creek Outfittersを買い取ったことをきっかけに、ジョンデイ川でガイドとしてのキャリアをスタートさせます。Miaはすぐにキャスティングの実力者として頭角を現し、スペイキャスティングの世界チャンピオンに3度輝きました。
彼女はそうした遠投の経験と知識をすべて活かし、アングラーのスペイキャスティングの腕を磨き、より良いアングラーになる手助けをしています。川にいないときや母親としての時間以外は、愛犬と砂漠をハイキングしたり、秋にはアップランドバード(高地の鳥猟)に出かけたりしています。Miaはオレゴン州海洋委員会(Oregon State Marine Board)の理事であり、ジョンデイ/スネーク川資源諮問委員会のメンバーでもあります。


RIO:スティールヘッドの釣りにのめり込んだきっかけは? 始めた頃のことを教えてください。
Mia:私の場合は、2001年にジョンデイ川で初めてツーハンドロッドを手にしたときに始まりました。シングルハンドを持っていたのですが、Martyにそれは使うな、ツーハンドを使わなきゃだめだと言われたんです。しばらく言い合いになりましたが、最終的に私が折れて、その日にスティールヘッドを掛けました。でも本当にハマったのは、2007年に娘のTeganが生まれてからです。ふとひらめいて、「私たちはお客さんをスティールヘッド釣りに連れて行く小さな釣りのビジネスをやっているんだから、私もスティールヘッドのガイドを始めるべきだ」と思ったんです。
Marty:生まれたときからです! スティールヘッドが大好きな父のもと、スティールヘッドの川のそばで育ちました。本当に感謝しています。
RIO:お二人は最強のチームです。出会った頃や、スティールヘッドの世界で自分たちの道を見つけていった初期のエピソードを聞かせてください。
Mia:2002年のことです。Martyと私はアラスカからオレゴンへ車で南下する途中、キスピオックス川、そしてバルクリー川に立ち寄って釣りをしました。キスピオックス川のロデオグラウンドで数日キャンプをして、Martyがスティールヘッドを掛けたんです。彼は大興奮でした! Bob Clayにも会いに行きました。バルクリー川では漁業監督官にライセンスをチェックされ、フックのバーブが潰してあるかも確認されました。その旅では私はスティールヘッドを釣れませんでしたが、この最初の旅が、スティールヘッダーになり、アラスカからオレゴンまでこの素晴らしい魚を追いかける人生の始まりになるとは思ってもいませんでした。
Marty:付き合い始める前から、少なくとも10年間、Miaと私は一緒に冒険をしていました。ハイキング、スノーボード、そして釣りが中心で、それが生涯のパートナーシップにつながり、一緒にビジネスを営み、家族を築くことになりました。
RIO:現在はデシューツ川、サンディ川、ジョンデイ川、グランドロンド川でLittle Creek Outfittersを運営されています。どんな事業なのか教えてください。
Marty:私はサンディ川で育ち、今もそこで冬のスティールヘッドのトリップをガイドしています。ほかの川については、Wild & Scenic(原生・景観河川)に指定された区間を下る数日間のトリップを専門にしています。私たちの目標は、人混みから離れて川を下り、心に残る旅を提供し、自分たちの技術において卓越したレベルを届けることです。
Mia:私たちの強みは、ガイドしている川でのスペイキャスティングとスティールヘッドフィッシングについて、何十年にもわたる知識があることです。釣れた魚の数がすべてではありません。美味しい食事を出すこと、居心地の良いキャンプをつくること、良い姿勢でいることなど、自分たちでコントロールできることも含めた体験全体が大切なんです。


RIO:キャスティング競技について。なぜ始めたのか、そしてその経験から得た大切な教訓は何ですか?
Mia:Martyは競技には出ていませんが、私は出場していて、最初の優勝に向けた準備を彼が手伝ってくれました。Martyと私は90年代にスノーボードのハーフパイプとボーダークロスの両方で競技をしていて、私はそれが大好きでした。今でも連絡を取り合う素晴らしい友人もできました。競技に出ることで、より速く滑ろうと自分を追い込み、精神的な集中力を養い、より良いアスリートになれました。そうした経験のすべてが、キャスティング競技を始めた理由につながっています。もっと上手くなりたかったし、自分を追い込みたかったんです。
競技会場の池には、風のように自分ではコントロールできない要素があります。呼吸や気持ちの持ち方など、コントロールできることに集中すること。それは川の上でも同じです。
RIO:スイングの釣りに足を踏み入れる新しいアングラーへのアドバイスは?
Mia:先週、4人のアングラーをガイドしました。2人はスティールヘッドの経験がありましたが去年から水辺に出ておらず、残りの2人は経験ゼロの新しいスティールヘッドアングラーでした。伝えたメッセージは同じです。一貫性こそがスティールヘッドを釣るチャンスを高める、ということ。一貫した釣りができていれば、少なくとも自分の役割は果たしている。あとは魚が役割を果たしてくれるかどうかです。
ラン全体を通して同じ距離をキャストし、フライをしっかりターンオーバーさせ、キャストごとに同じ歩数だけ移動すること。そしてランに入ったら、フライをガイドから外して短いキャストから始めること。いきなりヘッドを全部引き出して遠投し始めてはいけません。リーダーだけ出した状態で最初のキャストをし、スイングさせたら、リールから2ft(約60cm)ラインを引き出して次のキャストをします。これを繰り返して、無理なく扱える長さのラインをキャストでき、毎回フライがターンオーバーするようになったら……そこから一定の歩幅でランを下っていきます。
それから、ロールキャストを覚えてください! スペイキャストはすべて、方向転換を伴うロールキャストなんです。ロールキャストができないスペイキャスターの多さといったら、呆れるほどです。
RIO:お二人の地域で、夏遡上と冬遡上のスティールヘッドそれぞれに好んで使うセットアップは?
Mia:どんなロッドもどんな場面でも好きですが、夏から秋のスティールヘッドには7番を選ぶことが多く、RIO Scandi Launch 470grに10ft(約3m)のクリアフローティングVersiLeader、そして10〜12ポンドのティペットを合わせます。
冬のセットアップは7130にRIO GameChanger F/S3/S5 500gr。使うティップは水位次第です。
Marty:スティールヘッドには13ft(約4m)以上の7番ロッドが定番です。コントロール性と「フィール」のバランスがちょうどいいんです。ロッドに負荷が乗るのを感じるのが好きなんですよ。冬はスカジットラインの釣り、夏はスカンジラインの釣り。RIOはあらゆる選択肢を高品質な設計と作りで揃えていて、どんなシナリオにも対応できます! いろいろ言いましたが、結局どんな長さのロッドも、どんなスタイルも好きなんです。バンブーでもグラスでも大歓迎。ロングラインでもショートのコンパクトでも、大好きです。
RIO:最近モーピンに家を建て、家族と釣りの拠点を築かれました。その経験について聞かせてください。
Mia:これについては本が一冊書けそうですが、簡単にまとめますね。2013年、ガイドしている川に近いことと、Teganの通う学校の規模が小さいのが気に入って、モーピンに引っ越しました。2020年に町の家を売り、崖の上の13エーカー(約5.3ha)の土地を買って、一から家を建てるプロセスを始めました。まずユルト(円形テント)を建てて、家が完成するまでそこで暮らしました。ユルトには水道も電気もありません。ポータブル電源のJackeryが大活躍し、Starlinkにも助けられました。ロマンチックに聞こえますが、さすがに飽きました。地元の素晴らしい工務店がとても助けてくれて、ほかの業者さんとも仲良くなりました。費用を抑えるために、外壁材の取り付けや塗装など多くの作業を自分たちでやり、仕上げ作業のほとんどはMartyがやりました。幸い、彼は建築の腕がとても良いんです。もちろんまだ終わっていない細かいところもありますが、菜園や大きな作業小屋を作るといった他のプロジェクトに資金を回さなくてよくなったら、いつか手をつけるつもりです。
RIO:ケナイ半島。今後どんな計画を練っているのですか? その釣り場と、そこでの長期的な目標について教えてください。
Marty:アラスカは最高です! ずっと昔から、私たちという人間の一部になっています。Miaも私もアラスカで数多くの冒険をしてきた深いルーツがあり、何年もの間、いくつもの場所で何らかの不動産を持ち続けてきました。私の目標はそのつながりを失わないこと。それに、ケナイ半島の気楽さ、豊かさ、雰囲気が大好きなんです。Miaと一緒に過ごすようになった日から、チームとしてのチャンスを探し続けてきました。将来の計画を話すときには、いつもこの場所が浮かび上がってきます。本当に大好きなんです!
Mia:私たちは常に事業を多角化し、シーズンの空白を埋めようとしています。Martyと私には、商業漁業からワシラでの不動産所有まで、アラスカとの長い歴史があります。私はコディアックやガードウッドにも住んでいました。私たちがいつもケナイ半島に引き戻されるのには理由があります。大きなトラウト、サーモン、スティールヘッドが豊富な美しい川、良い人々、そして素晴らしい野生動物。長期的な目標は、カシロフに家を買い、Teganが卒業したらいずれそこへ移り住んで住民になることです(目当てはシープ(野生の羊)の狩猟タグだけ、なんてね:))。


RIO:パンクミュージックとスティールヘッドフィッシングの共通点は?
Marty:Bad Religionの曲の一節を借りれば、どちらも一種の病であり、中毒みたいなものですね。
Mia:パンクミュージックも、スティールヘッドをスイングで狙うことも、主流に逆らうもので、自由を感じさせてくれます。
RIO:スティールヘッドを釣っている間、頭の中で何度も(何度も何度も)流れている曲は?
Marty:ありません。周りの景色や音をただ吸収しています。ハゴロモガラス、岩や角をぶつけ合うオオツノヒツジ、キャニオンミソサザイ、流れる水、葉のざわめき、チャカー(イワシャコ)の鳴き声、列車、ドリフトボートが通り過ぎるときのオールのリズム、そしてクリック式のリールが悲鳴を上げる音……それが何度も何度も!
Mia:Martyと同じで、川の音やほかのあらゆる音に耳を傾けるのが好きです。ときどき変な曲が頭から離れなくなることもありますけどね。ほら、9時5時の勤め人生活を歌った、あの有名な曲みたいなね。
RIO:残りのスティールヘッド人生で1種類のフライ、1色しか使えないとしたら、何を選びますか? その理由は?
Mia:レッド。夏でも冬でも、これまで釣ったすべてのスティールヘッドの川で効きます。
Marty:ブラック。
RIO:スティールヘッドの保全について。ご意見をお聞かせください。
Marty:保全活動と、スティールヘッドや水質、そしてその両方を守るために必要なプロジェクトのために積極的に声を上げている人たちを支持しています。毎年、私たちが愛し大切に思うこの特別な生き物たちのために、できる限り守り手として、寄付者として、そして監視役として行動するよう努めています。
Mia:私はスティールヘッドと、彼らが暮らす川が大好きです。残念ながら、スティールヘッドと川の健全さを制限している要因はたくさんあります。地球温暖化(これを書いている9月5日の気温は101°F(約38℃)です)、ダム……そしてコロンビア川での刺し網漁は本当にひどい。それでも私は釣りや川下りをやめるつもりはありません。人々がそうした場所に行かなくなったとき、その場所は声を失ってしまうからです。
私の仕事は、人々を川や魚とつなぎ続け、川が声を持てるようにすること。デシューツ川は象徴的な川ですが、残念ながら2009年に取水塔(ミキシングタワー)が設置されてから水質が悪化しています。ありがたいことに、Deschutes River Allianceがよりきれいな水を求めて活動し、粘り強く闘ってくれています。最近、Cliff Bentz下院議員がモーピンを訪れ、地元のアウトフィッターたちと川について話し合いました。ここしばらくで最高の会合のひとつで、私たちに希望を与えてくれました。
RIO:この魚、この文化、この釣りとあなたをつなぎ続けているものは何ですか?
Mia:スティールヘッドは放浪者で、たくましく、最高にかっこいい魚です。私をつなぎ留めているのは、ガイドを通じて出会う素晴らしい人たちと、スティールヘッドを追うことで訪れる素晴らしい場所。そしてMartyと私の絆でもあります。Martyがよく言うように、私のDNAに刻まれているんです。
Marty:彼らのすべてに魅了され続けています。私たちは流行りに乗っかるファンになるには、あまりにも深くのめり込みすぎているんでしょうね。スティールヘッドは文字どおり、私たちの人生、生計、そしてDNAの大きな部分を占めています。間違いなく、私たちの魂の一部です!

原文:RIO Pro-Files | With Marty & Mia Sheppard(Geoff Mueller/RIO・Far Bank Enterprises、2025年10月10日)
写真:RIO・Far Bank Enterprises
日本語訳:Fly Fishing Outfitters WALTON

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