トラックの中では、誰がどのフライを使っているかという話が、やがて「実際に効くフライはどれか」という持論合戦へと変わっていきます。私は心の中で思います。「スティールヘッド釣りなんだから、どっちにしろ食わないのに」。思わず小さく笑ってしまいました。スティールヘッド釣りのことを考えると、さまざまな感情が湧いてきます。スティールヘッドは降海型の魚で、中西部からPNW(太平洋岸北西部)に引っ越してきた当初、私にとって何よりも心躍る存在のひとつでした。それから4年。数えきれないほどの早朝、良いランを確保する難しさ、自分のランを先に釣られてしまう悔しさ、絶えず変動する沿岸河川の水況、そして減り続ける魚の数を経験するうちに、その興奮は少し冷めてしまいました。

苔むした枝の向こうに川が見えてくると、車内の話題は、近年のスティールヘッドの遡上がいかに寂しいものかへと移っていきました。Kcが「わずかなチャンスが永遠になくなってしまう前に、1尾釣りたいな」と言うと、しんと沈黙が流れます。私たちはボートランチに到着しましたが、そこは急な土手にすぎず、最初は冗談かと思いました。つま先立ちになって急斜面の向こうをのぞき込み、「ランプ」を確かめます。ランプの下には、ちょうど今しがた降ろされたばかりのボートが見え、そこで冗談ではないと悟りました。そのボートが水辺まで下りていったルートを逆にたどろうとしてみます。存在しないに等しいそのランプは、レッドネックがジョン・ディアの乗用芝刈り機で自分ごと飛び出していくような場所に見えました。Andrewは、土手を下ろす際にボートの向きを変えたりコントロールしたりできそうな箇所にロープを結び始めていました。ロープを結び終えると、彼はゆっくりとボートをトレーラーから下ろし始めます。Kcはボートの後ろについて、ボートが勝手に滑り落ちないよう押さえていました。意外なことに、ボートを下ろす作業は思っていたよりずっとスムーズでした。

クロームを求めて
7126-4のCHROMERは、スティールヘッド用の万能ロッドとして最適な1本です。12'6"(約3.8m)の長さは、大きな川でフライを遠くへ届けるのに必要なラインスピードを生み出しつつ、増水時の狭い沿岸河川でもDループを作れる短さに収まっています。このロッドにGRANDE 7/8/9を組み合わせれば、どんな魚が相手でも負けることはありません。
準備を整え、最初のランへと向かいました。到着すると、長いランに散らばって立ち、一番上にKcが入りました。その日最初のボートが彼に近づいてきたとき、その「有害さ」はすぐにわかりました。ボートから仕掛けを投げながら、大声を上げ、よろめいていたのです。ボートはKCの横を流れ過ぎ、そのままランを釣り下っていきました。驚いたことに、そのボートはランを2回も漕ぎ戻っては釣り直し、そのままアンカーを下ろしてそこで釣り始めたのです。呆然と見つめながら、眉間にしわを寄せて、「What the f**k?」と口の形だけで言ったのを覚えています。うんざりした私たちはボートに戻り、その日唯一見かけたもう一艘のボートからできるだけ離れることにしました。3つ目のランに入り、4投ほどしたところで、私の心はさまよい始めました。たいていは、頭の中で歌を口ずさむことから始まり、やがて鼻歌になり、最終的には声に出して歌ってしまいます。頭から離れてほしいような歌ばかりなのに、気づけば歌詞を全部覚えているのです。さらに何投かしたあと、ADD(注意欠陥障害)が顔を出し始めたので、新しいキャストを覚えようとしてみました。何か新しいことに集中するための、私なりの工夫です。ランを釣りきってボートへ戻りました。足はまるで2つの巨大な氷の塊を履いているようで、ぎこちなく、重く、もう感覚がありませんでした。

何時間も経ち、釣れたのはAndrewのコースタル・カットスロート1尾だけでした。私にとってスティールヘッド釣りは不思議なものです。掛けられる確率はわずかで、ランディングできる確率はさらに低い(私はこれまで掛けた2尾をどちらもバラしています)。それなのに、今も多くの人がこの魚を追い続けています。私は「楽観的な」スティールヘッドアングラーではありません。釣りに出るたびに本気で釣れると信じている人たちがいますが、私はその反対で、出かけるたびに一目見ることすら叶わないと確信しているのです。スティールヘッドを追い始めて4年になりますが、それでもなお、この捉えどころのない魚を求めて早起きしている自分がいます。フライをスイングすること、そして川の流れとともに自分の思考と一人静かに向き合える時間を心から楽しんでいます。とはいえ誤解しないでほしいのですが、少なくとも1尾は釣りたいと思っています。テイクアウト手前の「デッドフロッグ・ウォーター(流れの死んだ淀み)」に着く前の、最後の良いランにたどり着きました。私はそれまでのランを釣っていなかったので、KcとAndrewが「最初に入りなよ」と言ってくれました。ランの頭まで歩き、いつもより少し上流から釣り始めます。最初はラインのヘッドがかろうじて出る程度にキャストし、まずは手前側の流れを探りました。
1投ごとに、リールから数フィートずつ余分にラインを引き出していきます。それでもキャストはランの「おいしいところ」には届いていませんでした。ところが突然、ラインがピンと張り、スイングが急に止まったのです。「くそっ」と心の中でつぶやきました。根掛かりしたに違いないと思ったからです。少し様子を見ようと、ロッドにもラインにも何もせずに待っていると、突然、信じられないことにリールからラインが引き出され始め、心臓がバクバクと鳴り始めました。それまでの人生で一度も出したことのないような声が出たと思います。その言葉を口にし終えるころには、リールは悲鳴を上げ、私も叫び始めていました。魚は川を下って走っていきます。スペイロッドがこんなふうに曲がるのを感じたのは初めてでした。冷静さを保とうとしながら、ロッドを低く横に倒し、魚と反対方向にプレッシャーをかけてコントロールしようとしました。永遠にも感じられた時間は、一瞬で終わりました。まばゆいクロームの魚体が水面で身をひるがえすのが見え、私たちは声をそろえて歓声を上げました。Andrewにボートにネットはあるかと聞くと、彼は気まずそうに「ない」と答えました(その日、私たちがどれだけ魚が釣れると思っていなかったかがわかるでしょう)。Andrewが魚の尾に手を回し、しっかりとつかみました。やりました。その日、星がそろってくれて、私は初めてのウィンタースティールヘッドを手にしたのです。


原文:Faith in Winter(Kayla Lockhart/REDINGTON・Far Bank Enterprises、2019年3月5日)
写真:REDINGTON・Far Bank Enterprises
日本語訳:Fly Fishing Outfitters WALTON

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