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枝越しに見える、冬の川に立ち込むフード姿のアングラー

REDINGTON SQUAD

突然幕を閉じた冬のスティールヘッドシーズン

Redington2020年4月3日

この冬は、まさに波乱万丈でした。シーズンの始まりは大量の降雨で、太平洋岸北西部の川は洪水レベルまで増水し、釣りができる状態ではありませんでした。そしてシーズンは、ワシントン州がCOVID-19への対応としてすべての釣りを禁止したことで、突然の終わりを迎えました。その始まりと終わりの間、アングラーたちは仲間と一緒に過ごし、昔話に笑い、魚を釣る夢を語り合い、そしてときには魚を掛けるという貴重な瞬間を分かち合うこともできたのです。

左:特別仕様のDUALLYは、人気の冬のスティールヘッドフライからインスピレーションを得たもの。

右:漕ぎ手席からの眺め。

川岸の石の上に置かれた、冬のスティールヘッドフライをモチーフにした特別仕様のDUALLY
ボートの漕ぎ手席から見た冬の川

人によっては、冬のスティールヘッドシーズンの幕開けは大晦日に祝われ、そのまま元日へと続きます。たいていのアングラーは、豪華なパーティーやシャンパンの乾杯よりも、焚き火を囲んでウイスキーのボトルを回し、過去の釣りの話や、これから始まるシーズンへの夢を語り合う夜を選ぶでしょう。この前の大晦日も、仲間と、思い出話と、笑いと、ウイスキーに満ちていました。私たちはみんなで降りしきる雨を眺めていました。お気に入りの川のひとつは、普段は5,000 CFS(約142㎥/秒)ほどの流量なのに、65,000 CFS(約1,840㎥/秒)まで急増し、15日間の予報は数日おきに短い晴れ間を挟みつつ、さらに雨が続くというものでした。国立公園の上流からは老齢樹が流れてきました。それでもこの大晦日、そして非公式な冬のスティールヘッドシーズンの開幕は、決して無駄ではありませんでした。この人生をより楽しいものにしてくれる人たちと過ごす時間には、それだけで価値があるのです。

左:キャスト中のPaul。

右:次のポイントへ移動中。写真:Clay Nowak

霧の立つ冬の川でスペイキャストするPaul
次のポイントへ向かう車内から見たフロントガラス越しの景色

予報どおり雨は降り続き、1月はずっと釣りにならないままでした。そうしてあっという間に月が終わり、アングラーはシーズンの最初の4分の1を失ってしまいました。2月の第1週の予報には回復の兆しが見え、雨も上がり始めました。川は水位が下がって釣りができる状態になり、最初の1週間を迎えました。魚たちも機嫌がよさそうでした。多くのアングラーからの釣果報告は「よく当たる」、つまり釣れているというものでした。ワイルドの冬のスティールヘッドを初めて掛けてランディングすることほど記憶に残るものはありませんが、誰かが初めての一尾を掛けてランディングする瞬間を一緒に分かち合えることは、それに次ぐ喜びです。今年は釣りができた日数こそ限られていましたが、私はその瞬間を良き友人と分かち合うことができました。

左:ランの流れ込みまで長い道のりを歩く。写真:David Reilly

右:スイング中のClay。

霧のかかる森の崖の下、砂利の河原を歩くアングラーたち
フライをスイングさせるClay

誰かにスペイキャストを教えるのは比較的簡単ですが、すでに熟練したフライアングラーにスペイキャストを教えるとなると、少し難しくなることがあります。経験豊富なアングラーほど、スペイキャスターの「ダンス」の基本を学ぶ段階ですぐにイライラしてしまいがちなのです。典型的なサステインドアンカー系のスペイキャストには、3つの基本動作があります。アンカーの置き方、スイープ、そしてフォワードストロークです。振り付けのあるダンスのように、スペイキャストもひとつずつ動作を覚えていく必要があります。重いフライやシンクティップを使う場合、キャスト、つまりダンスは、仕掛けを水中の高い層まで浮かせてキャストしやすくするための、下流へのロールキャストから始まります。次の動作がアンカーの置き方です。どのタイプのサステインドアンカーキャストでも、何らかの形で動きが必要になります。アンカーをどこに置くかで、キャストが対岸に向かって伸びていくか、アングラーの目の前で山積みになって落ちるかが決まります。アンカーが遠すぎると、フォワードストロークに入ろうとしてもティップとフライを水から抜くのに苦労します。逆に近すぎると、自分の体に新しいピアス穴を開けてしまう危険があります。スペイキャスターのダンスの次の動作はスイープです。これはロッドティップを低い位置から体の前を横切るように動かし、高い位置で止める動作です。ここではいろいろな失敗が起こり得ます。よくある失敗のひとつが「バウンドするスイープ」で、スイープ中にティップを上げ下げしてしまうことで起こります。これによってラインのヘッドが水面に落ちてしまい、フォワードストロークのパワー不足につながります。スイープ中のもうひとつのよくある失敗は、速すぎたり遅すぎたりすることです。速すぎるとDループを吹き飛ばしてしまい、遅すぎるとDループがそもそも形成されません。ダンスの最後はフォワードストロークです。Dループができるのを待ちすぎると、Dループが崩れてロッドのロードが抜け、フォワードストロークにパワーが乗りません。反対に、フォワードストロークを急ぎすぎてアンカーを吹き飛ばしてしまい、やはりフォワードストロークのパワーを失ってしまうアングラーもいます。このダンスを覚えてマスターするのは難しいものですが、熟練したフライアングラーにとってさらに難しいのは、たとえどんなにひどく見えても自分のキャストを信じることです。初めてフライロッドを手にしたとき誰もが対岸までフライを投げたくなるように、初めてスペイロッドを手にしたときも同じことが起こります。冬のスティールヘッドのキャスティングで言えることは、スペイアングラーは手前側の流れを釣っているということです。ロッドからある程度ラインを出して、良いランでまずまずのスイングができさえすれば、魚を掛けるチャンスは十分にあります。

左:明るい色のフライを好むアングラーもいれば、暗い色を好むアングラーもいますが、両方持っておくに越したことはありません。写真:David Reilly

中:初めてのワイルドスティールヘッドを掛けたJean。

右:32インチ(約81cm)あったブライトなメスを手にするJean。写真:David Reilly

ピンクとオレンジの派手なスティールヘッド用フライのクローズアップ
初めてのワイルドスティールヘッドとファイトするJean
32インチのブライトなメスのスティールヘッドを手にするJean

サンバレーのリゾートでのスキーをひと休みして、JeanとDaveはアイダホ州ケッチャムから西へ、数日間の釣りのためにワシントン州の海岸へやって来ました。この地域を初めて訪れる多くの人と同じように、二人は息をのむような景色と、本当によく雨が降ることに驚いていました。JeanもDaveも優れたアングラーで、小さな山の渓流からソルトウォーターのフラットまで、あらゆる釣りを経験してきましたが、スティールヘッドを狙ってフライをスイングさせるのは今回が初めてでした。二人ともスペイキャスターのダンスはまったくの初心者で、簡単に説明した段階で、動作を身につけるのに少し苦労しそうなことは明らかでした。腕の立つアングラーの多くがそうであるように、二人も最初のステップから一気に、できるだけ多くのラインを投げ込む段階へ進みたがりました。数えきれないほどの「ウインドノット」と、あやうく新しいピアス穴が開きそうになったキャストを何度か経て、JeanもDaveも自信を持ってランを釣れるだけのラインを投げられるようになりました。

冬の装い

どんなフォーマルなダンスでもそうであるように、ふさわしい装いを考えておくべきです。12ft6in(約3.8m)の7番スペイロッドがあれば、冬の海岸沿いの川で出会う状況に対応できます。12ft6inという長さは、ティップやフライを水から抜き上げるのに十分な長さでありながら、狭い場所でもキャストできる短さです。これにBEHEMOTH 9/10のリールを組み合わせれば、バランスの取れたセットアップになり、どんなにブライトな魚にも対応できます。

7126-4

9/10

スティールヘッドをスイングで狙うとき、自信こそがすべてです。自分のフライの選択、今いるラン、自分がしたキャスト(ひどいキャストも含めて)を信じられなければ、スティールヘッドを掛けるのはさらに難しくなります。初心者にとってもベテランにとっても、自信こそが最大の壁になり得るのです。JeanとDaveも例外ではありませんでした。スペイキャスターのダンスへの理解が深まり、キャスティングが上達していくにつれて、二人とももっと遠くへ、さらに遠くへと投げたくなっていきました。その結果、うまくいく長いキャストはごくわずかで、その間に数多くの失敗が挟まることになりました。飛距離が最優先になってしまい、スイング中にフライがきちんと泳いでいるかどうかへの意識がおろそかになっていたのです。そこで二人には、キャストを短くして、フライが岸までしっかりスイングしきるように心がけてもらいました。自分のスペイキャスターとしての腕を信じるようになり、短いキャストのほうがランを効率よく釣れることに気づくと、二人の自信は少しずつ積み上がっていきました。

左:リリース。写真:David Reilly

右:キャストを送り出すPaul。

水しぶきを上げてスティールヘッドをリリースするアングラー
スペイキャストでラインを送り出すPaul

2日目は、スティールヘッドの釣りの多くの日と同じように、早朝から始まりました。ランに入って1時間ほど経つと、JeanとDaveのキャストも自信もいい感じになってきました。二人とも無理なく扱える距離にキャストを抑え、フライを岸までしっかり釣りきっていました。その直後、Jeanがとんでもないことをやってのけたのです。干し草の山の中から一本の針を見つけ出すように魚を掛け、「掛かったかも!」と叫びました。この叫びは必ずしも当てにはなりません。根掛かりしたときや、小さなカットスロートがフライをついばんだだけでも、大げさに反応するアングラーはたくさんいるからです。しかしこの朝は違いました。Jeanのスペイロッドは大きく曲がり、ブライトな魚が水面から飛び出してきました。何度かの短い走りと、さらに何度かの空中アクロバットの末、Jeanは人生初のワイルドの冬のスティールヘッドを手にしていました。誰かの人生の特別な瞬間に立ち会えることは、自分がその瞬間を生きるのと同じくらい特別で、報われる体験です。その日はその後、魚の反応はありませんでしたが、朝の一尾の興奮でみんなずっと浮き立っていました。Jeanの笑顔は旅の最後まで消えることはなく、私たちの笑顔も同じでした。

雨は上がり始め、2月下旬は1月とはまるで正反対になりました。予報されていたいくつかの嵐は勢力を弱め、川の水位は下がり続けて、この時期の平均流量を下回るほどになりました。水量が減ったことで、アングラーは川のいくつかの区間に集中するようになり、魚は隠れる場所が少なくなりました。ほかの多くの川は遡上予測の最低数に届かず、釣りが禁止され始めたため、開いている数少ない川にさらにプレッシャーが集中しました。以前はよく当たっていた魚も、スイングするフライに口を使わなくなり、1日1回あったアタリが、5日に1回のように感じられるようになりました。

3月上旬、シーズンはピークを迎え、予報ではまた雨が降るとのことでした。水位の上昇は、魚にとってもアングラーにとっても待ち望んでいたものでした。この頃、世界はCOVID-19への対応に追われ、多くのことが急速に変わり始めていました。慣れ親しんだ世界が、不確実さに満ちたものへと変わっていったのです。多くの人が日常を感じられる何かを求めていて、アングラーにとって川で過ごす時間はまさにそれでした。しかしその日常も、WDFW(ワシントン州魚類野生生物局)がCOVID-19の封じ込めに向けた予防措置として、すべての釣りを禁止するという決定を下したことで変わってしまいます。こうして冬のスティールヘッドシーズンは、始まったときと同じように、アングラーが自宅で水位をチェックし、フライを巻きながら終わりを迎えました。ただでさえ短い冬のシーズンは、どうにもならない力によってさらに短くなってしまいました。けれど、大晦日と同じように、7月4日の独立記念日はスティールヘッドアングラーにとって別の祝いの日です。彼らはサマースティールヘッドシーズンの非公式な開幕に向けて、カレンダーに印をつけるのです。

左:老齢樹の間を抜けて進む。

右:スティールヘッドの釣りには、早朝からのスタートと、自分のフライ選びへの揺るぎない信頼が欠かせません。写真:Clay Nowak

巨大な倒木の下をくぐって歩くアングラー
夜明け前の川辺でヘッドランプを着け、フライボックスからフライを選ぶアングラー

原文:A Season Cut Short(Redington/REDINGTON・Far Bank Enterprises、2020年4月3日)
写真:REDINGTON・Far Bank Enterprises
日本語訳:Fly Fishing Outfitters WALTON

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